2016年7月29日金曜日

冠詞はやっかい?

中学に入って初めて英語を学び始めたという子どもは、早い時期に冠詞に出会い、その使い方を教わります。名詞に比べ耳慣れないaやan、the等は頭で覚えるしかなく、使い分けに苦労する場面も出てきます。冠詞は日本語にはないものなので、なんとなく、有っても無くてもいいもののように感じてしまい、とかく軽んじがちです。でも、冠詞は英語を使う上でとても重要なので、しっかり覚えて正しく使ってほしいものです。
一昨日、海外ドラマを見ていて、ちょっと気がついたことがあります。冠詞を抜かすと思わぬ誤解を招くという一例をご紹介します。

"She is an adult."
「彼女は大人だ」
これは劇中の人物が、ある女性を評して発したセリフです。この女性に分別があり、大人の対応が出来る人だと言うことを端的に表わしたもので、この表現は日本語でもよく使われますよね。別に悪い意味ではありません。でも、もしこの文から冠詞"an"を抜かしてしまったらどうなるでしょうか?
"She is adult."
となります。
では、この文はアメリカ人にはどう聞こえるかというと、
なんと「彼女はアホだ」
と聞こえてしまうかもしれないのです。

ネイティヴ・スピーカーである英米人にとっては、冠詞の抜けた文などありえないので、上の文を音だけで聞くと
She is a dolt.
と聞こえるからです。
"dolt"
というのは「アホ、バカ、マヌケ」という意味なのですが
"adult"と "a dolt"
は音がとても似通っているのです。つまり冠詞を抜くことで思いがけない悪口を言ってしまうことがあるという、一例です。冠詞の苦手な中学生にとって、ちょっと怖い話ではないでしょうか?
ECCでは幼児クラスから、単語を教える際、カードを使ったり、ピクチャーディクショナリーなどで、絵を見ながら繰り返してもらいます。可算名詞が単数で描かれた絵には必ずa/anが入っているので、冠詞ごと覚えていきます。後から机上で覚えるより自然に冠詞が定着しやすいかと思われます。